さかだちゲーからミニチュアを使った脱出ゲームまで。コナミ主催のインディーゲームイベント「Indie Games Connect 2022」レポート

6月26日に行われたインディーゲームイベント「Indie Games Connect 2022」に行ってきました。
コナミが主催し、銀座Unityもくもく会が支援するという少し変わった出自のイベントでもあります。

無数のゲームが出展されており、入場制限がかかるほどの大盛況ぶりだったイベントから、遊んでみて「これは!」と思うゲームをご紹介します。

『さかだちの街』――ポップでキュート、やり応えのあるパズルアクション

unity1weekで総合ランキング1位をとった作品のパワーアップバージョン。ゲームは「さかだち」「画面反転」のふたつの要素を利用し、パズルを解いて進むパズルアクションゲームです。

ステージの中にはおして動かせる箱が設置されていますが、主人公のうららちゃんが「さかだち」すると空に向かって落ちていきます。なぜなら、うららちゃんから見て下方向が下だから。
例えば、目の前に邪魔な箱があるなら、逆立ちすることで箱が空へと移動し、空いた隙間を進むことができます。

さかだちすると重力が反転する「サカダチ現象」にくわえて、画面を反転させることでさらに重力の方向を変えるという要素が登場します。
さかだちした状態で画面が反転すると、さかだちではなくぶら下がりになる。ぶら下がっているなら手を離せば下に落ちるのは……ハイ……当然デス……。

Steamより
Steamより

なかなか手ごわいパズルに加え、リポーターのうららちゃんと番組のキャスターの会話がかなり良かったです。ダウナーなうららちゃんと番組をなんとか進行しようとするキャスターのやりとりや、サカダチ現象に悩まされる街の人々へのインタビューなど、会話はパズルアクションを邪魔しない程度におさえられた長さでありながら、濃いキャラクターが詰まっていました。

ポップでかわいいアートスタイルに頭を悩ませるサカダチパズルを包んだ『さかだちの街』は、今回のイベントでも特に面白かったゲームです。個人的にも、ブースが盛況で過去2回別のイベントで泣く泣くプレイを断念していたタイトルだったので、今回ついに遊べてうれしかったです。
クリアタイムがかなり短かったそうですが、ずっと他の方のプレイを見ていたのです……。

なお、ゲームはSteamとitch.ioにて2022年発売予定。開発者のTwitterアカウントはこちら。発売が楽しみです。

『音札』――独自ハードウェアを持ち込んだ気合の入ったリズムアクション

今回のイベントでは少し珍しかった、独自筐体の対戦型リズムゲーム。花札を模したカードバトルと、音楽に合わせて振ってくるノーツに対応したキーをたたくリズムゲームを合体させたゲームです。

お互いにデッキを組んでリズムゲーム中にそれを使用し、状況を有利にしていくというのが基本的なゲームの流れですが、今回はデッキビルド部分は未実装。リズムゲームパートのみが遊べました。
リズムゲームは基本的にノーツに合わせてキーをたたくのですが、手の動きを検知するセンサーが搭載されており、矢印が書かれたノーツはその方向にセンサー(LeapMotion)の上で手を動かさなければなりません。

また、ゲームセンターでの稼働を意識しているようで、自分のデータを保存したカードをかざすことで個人を識別する機能も搭載されています。

こうした独自のハードウェアが必要になるゲームが遊べるのも、まさにこうしたオフラインイベントならではの楽しみといえるでしょう。

とはいえ、やはり流通という点ではむずかしいようで、スマートフォン向けにいくつかの要素をオミットしたゲームも出す予定とのことです。公式Twitterアカウントはこちら

一緒に遊んでくれた見ず知らずのお兄さん、対戦ありがとうございました。

『Slumhack』――命令アイコンを並べてキャラをコントロールする異色のパズル

赤と青の目を引くキービジュアルに惹かれてゲームをプレイ。画面上部に一定時間ごとに命令を実行するビートが流れる部分があり、そこに上、下、右、左などさまざまなコマンドが書かれたチップを並べ、その通りにキャラクターが動くアクションパズルゲームです。

例えば、目の前に穴が開いているなら、まずはジャンプのチップを置き、すぐ後ろに右に進むチップを置きます。すると、まずはビートがジャンプの命令を起動し、キャラがジャンプ。すぐ後に右に進む命令が実行されるのでジャンプ中に右に進んで穴を突破できる……といった具合。

スタートからゴールまで完璧に命令チップをくみ上げる必要は無く、アドリブでもなんとかなる部分は多かったです。また、チップはリアルタイムで動かせるので、流れるビートに合わせて右チップを移動させれば、キャラを右に動かし続けることも可能。
チップの内容がプログラミングに相当し、ビートの流れがその実行のトリガーとなるゲームではありますが、厳密なプログラミングは不要でした。

ストーリーは世相を反映した、とある疫病による人類の分断を描いている様子。製品版ではRTAモードも搭載されているとのことで、最適解を目指す試行錯誤が楽しめそうです。

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『レトロゲームエイリアンズ』――この方向に進化していたのか!

かつてこのゲームの前身をBitSummitで遊んだとき、「王家の墓」をクリアして開発者の戸塚さんに褒められたことを今でも覚えています。あのときは王家の墓がそのままゲームになるのかなと思っていましたが、なんと王家の墓はゲーム内ゲームの一本となっていました。

ゲームは大きく分けて2パート。主人公?の女性が拾った謎のゲーム機にまつわる謎を解く「現代」2Dアドベンチャーゲームパートと、ゲーム機に入っていた「王家の墓」など3つのゲームを実際に遊ぶ「レトロ」2Dアドベンチャーゲームパート。

そう、このゲームは今や当たり前となった背景+キャラクター+文字ウインドウという現代風のアドベンチャーゲームと、「にし いく」に代表されるオールドスクールなアドベンチャーゲームという、ふたつのアドベンチャーゲームを同時に楽しむゲームなのです!

今回のデモバージョンはゲームの内容までは触れず、ふたつのアドベンチャーパートを少しだけ遊べました。ただ、こだわりのアートスタイルはしっかりと確認できました。ゲーム内でも言われていますが、どう見ても怪しいパチモノっぽいゲーム機は一体なんなのでしょうか。
大陸のほうからやって来た、ただのそれっぽいゲーム機なのか、タイトルの「エイリアンズ」が示すとおり、エイリアンが作ったゲームなのか……。

ゲームの女の子がとてもかわいいと思っていたので、ポストカードもらえてうれしかったです。

本作の発起人のTwitterアカウントはこちら

『Miniature LAND -Four Seasons-』――実際にジオラマを作り、その写真を使った脱出ゲーム

今回さまざまなゲームのブースが出展されていましたが、その中でもひときわ目を引いたのが本作。洋風の庭園のジオラマがドーンと置かれていました。
内容はオーソドックスなポイントアンドクリック(タップ)のスマホ向け脱出ゲームです。が、ゲームのアートはすべて実写。ジオラマを実際に撮影して作られています。

実際に使われたジオラマが置かれているので、ゲームで見て気になった部分を実際に見ることができるというのがとても新鮮でした。例えば、ある謎を解くと噴水から水が出るのですが、これはジオラマに実際に穴が開けられており水を出して動画を撮影したそうな。

ゲーム単体での楽しみではないのですが、リアルイベントへの出展を生かした良い展示でした。

ついでに、リアルイベントでゲームを遊んだことがある方ならなんとなくわかってくれると思いますが、謎解き系のゲームって解けないとほんとに解けないので、後ろに人が並んでたりすると死ぬほど焦るんですよね。
本作はヒントボタンが常に使えたので、詰まることなく最後まで行けました。全部の謎解きに使ったわけではありませんよ。わからないところだけ使いました。

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『百科ガール』――カメラワークで感動し愛で敵をぶん殴る!

マップ上にあるさまざまなアイテムを使い、敵を倒して先に進む2Dアクションゲーム。アイテムの数はなんと100種類とのこと。電柱なら地面をたたいて大ジャンプ、キウイなら地上を猛ダッシュなど、アイテムごとに固有のムーブが用意されているので「アクションゲーム100本分」という楽しいコメントがつけられています。

ステージの開始時に、シルエットで登場するアイテムがほのめかされます。軽いシルエットクイズの様相ですが、これが意外と面白い。「愛」という形のシルエットはなんだこれはと思いましたが、ステージでも愛と書かれた謎の物体が出てきました。もちろん愛でぶん殴って敵を倒します。
どう見てもうんこの形をしたシルエットもありました。ステージでもうんこが出てきました。うんこに住む寄生虫?で攻撃します。

にぎやかで楽しいアクションゲームですが、3Dであることを生かしたカメラワークがとても新鮮でした。カメラワーク優先で若干プラットフォームが見づらい部分がありましたが、下り坂を下りるシーンではカメラが主人公の斜め後ろから坂道の向こうを見下ろすように映し出し、画面一枚分では表現できないような広大さを表現していました。
こういうカメラワークを持ったゲームは他にもあるかもしれませんが、この下り坂のシーンはとても気に入りました

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Indie Games Connect 2022を終えて

イベント慣れしているであろうコナミが自社の施設を使って開催しただけに、第一回目にもかかわらず完成度の高いイベントだと思いました。私は参加しませんでしたが、開発者向けのカンファレンスも行われていたようで、ゲーム開発者にとっても、出展すること以外の点でも有益なイベントだったのではないでしょうか。

今回大きめのかばんを持っていくことをすっかり忘れており、ノベルティの類いは軒並み折って持ち帰ることに……。この反省を生かし、次回もあればぜひ参加したいと思います。

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