格闘ゲームを人生から追い出す前に。「恋姫†演武」レビュー

皆さんは格闘ゲームが好きでしょうか?私は大好きです。大好きなのに下手くそもいいところです。私は人生で様々な格闘ゲームを触り続け、それと同じ数だけ諦め続けてきました。

  初めて出会った格闘ゲームはスーパーファミコンのストリートファイターIIでした。20年以上前の話です。幼かった当時、お小遣いも少なく説明書も箱もない裸のソフトを買うお金しかありませんでした。当時はゲームにも詳しくなくインターネット(まだパソコン通信と呼ばれていたかも)も知らず、周りにも格闘ゲームを遊ぶ友達もおらず一人でCPU対戦で遊んでいました。当然コマンドもよくわからず、せいぜいリュウの波動拳、春麗の百裂脚のような連打コマンド、ジャンプ中↓キックで出せる特殊技程度しか使いこなせていませんでした。
 その後も下手の横好きは続いていきます。

  • キング・オブ・ファイターズを難しいコマンドで諦めました。
  • ヴァンパイアハンターの沢山のボタンとチェーンコンボで諦めました。
  • ギルティギアXを難しいコンボで諦めました。
  • ストリートファイター4の沢山のボタンとやっぱり難しいコマンドで諦めました。
  • スカルガールズでついにコンボゲーに開眼したと思ったらインターネット対戦でただ節穴が空いていたことを分からされ諦めました。
  • メルティブラッドアクトレスアゲインカレントレコードにも手を出しましたがそれも難しくて放り出しました。

 格闘ゲーム自体を諦めようと思うほど諦めだらけの私の格闘ゲーム人生で最後に出会ったのが恋姫†演武でした。

  30時間程度しかプレイしていませんが、それでも諦めるのが早い私にとっては大きな進歩です。それでもできないことは諦めています。

  • コマンド必殺技は波動拳までしか出せません。
  • 2P側に移動してしまうと地獄が見えます。
  • 投げの間合いに反応できません。
  • 相手のジャンプに合わせて対空も出せません。
  • 超必殺技も出せません。
  • 崩撃(後述)の読み合いは未だに苦手です。
  • 崩撃コンボはなんちゃってで済ませます。

 諦めが立ちはだかることが多いゲームです。しかしそれは私が今まで些細なことで諦めていたことの証左でもあります。

諦めのその先へ。叩け!Bボタン!

 格闘ゲーム永遠の初心者である私がこのゲームのシステムをああだこうだと語ったとしてそれになんの価値があるのでしょうか。逆に言えば、私がこのゲームで出来る事を紹介する方がよほど説得力があるでしょう。つまり、ガードとBボタンです。
 間合いの広いBボタンで牽制し、相手の攻撃をガードしてもう一度Bで反撃。本当に小さな一歩です。相手の攻撃をガードして反撃し少しずつ戦線を押し上げ画面端に追い詰める。私の格ゲー人生のような牛歩でも勝利を目指すことが出来るゲームです。

 牽制と攻撃とガードの行き交うこの濃密な時間は、恋姫†演武が私のような格闘ゲーム諦念者ですらその面白さの一端をプレゼントしてくれる瞬間です。例え難しいコマンドができなくても、相手の攻撃に合わせて小足を入力できなくても、タイミングよくボタンを押してド派手なコンボを組み立てられなくても俺より強いヤツに食らいつける時間。

 じゃあそれでどれくらい戦えるのかというと、EVO出場経験もある格ゲー強者(もちろん恋姫†演武ではありませんが…)の友人から1ラウンドくらいは取れるほどの番狂わせが可能です。私はこの勝利を一生背負って生きていきます。
 でもそれくらいじゃ面白くない、もっとド派手でかっこいいことがやりたい、わかります。カコーンと響くあのシステム。恋姫†演武には崩撃があります。

音がなったら落ち着いて。崩撃コンボ始動の合図だ。

流石にBボタンを押せ!だけでは尺が短すぎるので格闘ゲームコンボ諦念者でも割と安心のコンボシステムである崩撃についても少し書いておこうと思います。

 相手の攻撃に合わせて崩撃属性を持つ攻撃でカウンターに成功すると、そこから浮いた相手にも攻撃が当たる崩撃コンボのスタートになります。カコーン!という気持ちのいい音と共に相手はゆっくりと崩れ落ちるので少しだけですが落ち着く暇すらあります。トレーニングモードでもコンボレシピは登録されていますが、別にそれを覚えなくても結構繋がります。私の持ちキャラの張飛の場合は打ち上げ、叩きつけ、吹き飛ばしの3種に空中でCと突撃敢行(波動拳コマンド)を組み合わせるお手軽コンボでなんとかしていますが、それでも通常ではありえないダメージを叩き出すことができます。
 崩撃属性を持つ攻撃もレバー前斜め下、あるいは前とBかCの組み合わせで発動する非常に簡単なものなので、複雑なコマンドが苦手でもこの爽快感あふれるシステムの尻尾をフン捕まえることが可能です。

 逆に言えばこれを喰らうと大ダメージ必至なのですが、崩撃始動技をガードできれば反撃確定なのでガードを固めておきたいものですね。私はいつも我慢できずに手を出してカコーン!されますけど。コンボを食らっている間は面白くもなんともないので相手がミスするようにインターネット回線越しに回し蹴りや灰皿を投げつける妄想をしながら苦痛の時間が終わるのを待っています。

あなたの人生から格闘ゲームを追い出す前に。

可愛い女の子しか出ない格闘ゲームというキャッチーな見た目に反して(他の人達が言うには)非常に硬派なゲームと言う評価のゲームです。しかし私のような格闘ゲームを諦めた者が最後に試してみるにはもってこいのシステム満載で非常に初心者向けなゲームでもあります。
 もちろん極めるには非常に高い頂きが遥か彼方に見えますが、その山をハイキング気分で楽しく眺めて回ることが出来る懐の深さがあります。決して見えない頂きを五里霧中で目指すわけじゃありません。一歩一歩頂点に近づいていく確かな手応えがあるゲームです。

 恋姫†演武は私のように複雑なシステムや難しいコマンドで格闘ゲームが楽しめなかった人たちに、格闘ゲームを人生から追い出す前に最後に触って欲しいゲームです。

恋姫†演武へようこそ!

ここまで読んで早速始めようと思ったナイスガイ、もう少しだけ待ってください。バージョンアップ版の恋姫†演武 ~遼来来~の発売が2018年7月13日に控えています。まずはシステムをマンガで分かりやすく解説した指南書が公開されているのでそちらを読んでみてください。私はSteam版でプレイ予定ですが、おそらく新作でも人の少なさは他のプラットフォームの比では無い事が予想されおすすめしにくいのです。でも、少なくとも私はいます。

スコア:4点

  • 5点(人類誰しもが遊ぶべきゲーム)
  • 4点(ジャンルを代表する作品。そのジャンルに興味がなくてもゲームファンならオススメ)
  • 3点(そのジャンルのファンであればプレイ推奨)
  • 2点(そのジャンルをやり尽くし、ほかに探しているならプレイして欲しいゲーム)
  • 1点(誰にもオススメできないゲーム)

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